トリミングサロンの月の売り上げ、平均は?赤字にならない目標設定のコツ

以前、当ブログで「トリマー開業ロードマップ」という記事を公開しました。

あれは、私が日々の業務でご相談を受ける最初のステップ、つまり事業を「始める」ための具体的な道筋を解説したものです。

しかし、開業はゴールではありません。

税理士として長年多くの事業主様を見ていると、本当の壁は事業を「続ける」ためにやってくる、第二のステップにあると感じています。

開業の記事と同様にトリミングサロンを例にすると、特に多く寄せられるのが「トリミングサロンの月の売り上げ」に関するこんな声です。

「毎月の売り上げは、これで十分なのだろうか?」
「他のサロンは、一体どれくらい売り上げているんだろう?」

そこで今回は、開業という夢を叶えた皆様が安心して事業を「続ける」ために、気になる「月の売り上げ」の考え方と、利益を生む目標設定のコツについて、シンプルに解説していきます。

トリミングサロンのみならず、他の業種でも考え方は同じです。

目次

トリミングサロンの月の売り上げ、把握できていますか?危険信号セルフチェック

まず、ご自身の経営状況について、感覚ではなく事実として把握できているか、簡単なチェックをしてみましょう。

もし、一つでも当てはまる項目があれば、それは経営の危険信号かもしれません。

  • 「今月の売上は、先月と比べてどうでしたか?」と聞かれて、具体的な数字で答えられない。
  • シャンプーやペットシーツなどの消耗品に、毎月どのくらい使っているか把握していない。
  • 事業用の口座とプライベートの財布の区別があいまいで、経費の区別がついていない。
  • 日々のレジ締めや現金の在高確認を、習慣にできていない。

これらの状態が続くと、「確定申告の時期に慌てて赤字だったことを知る」「なぜ経営が苦しいのか理由が分からず、具体的な対策が立てられない」といった状況に陥りがちです。

月の売り上げ目標の立て方:平均額より大切な「損益分岐点」

一人経営のトリミングサロンが軌道に乗った場合、月の売り上げは80万円~120万円も十分に現実的な目標です。

年商1,000万円を超えるオーナー様も決して珍しくありません。

しかし、他店の平均額を気にするよりも、あなたの経営にとって重要なのが、ご自身のサロンが赤字にならない最低ライン=「損益分岐点」を把握することです。

1. まず経費を「固定費」と「変動費」に分ける

経費は、その性質によって二種類に分けられます。

  • 固定費: 売上がゼロでも毎月必ず発生する費用です。家賃、賠償責任保険料、借入金の支払利息などがこれにあたります。(※借入金の元本返済は、会計上の費用とは区別されますが、毎月の現金支出として別途管理が重要です)
  • 変動費: 売上の増減に比例して変動する費用です。シャンプー・リンスなどの消耗品費、水道光熱費などが考えられます。

2. 次に、「損益分岐点」を理解する

損益分岐点とは、売上と経費がちょうど同じになり、利益がゼロになる売上高のことです。

つまり、「最低でも、ここまで売上がないと赤字になる」というラインであり、経営における絶対的な基準点となります。

この損益分岐点を把握することで、「今月はあと何頭トリミングすれば黒字になる」といった具体的な目標設定が可能になります。

3. 最後に現実的な「売上目標」を立てる

損益分岐点が分かれば、それに「ご自身が得たい利益」を上乗せすることで、初めて現実的な売上目標を立てることができます。

この目標に向かって日々の売上とコストを記録し、計画とのズレを確認・修正していくことが、経営の基本となります。

安定経営への第一歩:あなただけの売上目標を見つけよう

今回は、トリミングサロンの「月の売り上げ」をテーマに、目標設定と経営管理の基本について解説しました。

平均的な売上高も一つの目安にはなりますが、最も大切なのは、ご自身の経費構造から導き出した「損益分岐点」を理解し、利益の出る自分だけの売上目標を立て、日々その達成度を確認していくことです。

この記事が、あなたのサロンの売上向上と安定経営の一助となれば幸いです。

もしそれでも不安なこと、分からないことがあれば、いつでも私たちのような専門家にご相談ください。

もし、これから開業を考えている、あるいは開業の全体像からおさらいしたい、という方は、こちらの「トリマー開業ロードマップ」の記事もぜひご覧ください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的アドバイスを保証するものではありません。具体的な意思決定にあたっては、必ず管轄の行政機関や税理士等の専門家にご相談ください。

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