Amazonや楽天などのECサイトを仕事で利用する個人事業主の方は多いでしょう。
2024年1月1日から電子取引データの電子保存が完全義務化された今、「毎回、領収書をダウンロードしないといけないの?」「スクショでいいの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、電子帳簿保存法におけるAmazonや楽天の領収書の取り扱いについて、個人事業主がいつまでに何をすべきか、そのルールを分かりやすく解説します。
電子帳簿保存法で、Amazonなどの領収書をダウンロードしなくてもいいケース
ECサイトで購入した際の領収書や明細は、電子帳簿保存法が定める「電子取引データ」に該当します。
このデータを保存するには、「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。
Amazonや楽天などのシステムは、ユーザーが購入履歴を勝手に削除・修正できないため、「真実性の確保」はクリアしているといえます。
しかし、問題は「可視性の確保」です。
これには、取引年月日や金額などでデータを検索できるようにしておく「検索要件」が求められます。
Amazonや楽天の購入履歴は、細かな検索要件を満たしているとは言えません。
しかし、以下のどちらかの条件を満たせば、検索要件が不要になります。
- 基準期間(前々年)の売上高が5,000万円以下
- 電子取引データをプリントアウトした書面を、日付や取引先ごとに整理していつでも提示・提出できる状態にしておく
多くの個人事業主の方は、売上が5,000万円以下であるため、検索要件を満たさなくても問題ありません。
この場合、Amazonや楽天のサイト上でそのまま保管しておくことも可能になります。
Amazonや楽天の領収書をサイト上で保管しない方が良い理由
検索要件が不要な場合でも、税理士の立場としてはECサイト上での保管はあまりお勧めできません。
以下の注意点があるからです。
- 電子帳簿保存法では、領収書などのデータは一定期間の保存が義務付けられています。
- 個人事業主(青色申告): 7年間
- 個人事業主(白色申告): 5年間
- 法人: 原則7年間(欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間)
現時点では長期間の履歴が確認できますが、サービス提供会社による明確な保証はありません。万が一、サイトの仕様変更やトラブルでデータが消えてしまうと、義務違反になってしまいます。
- 税務調査での提示が面倒税務調査では、電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認されます。
その際、購入履歴を見せるためにAmazonや楽天にログインして画面を見せることになりますが、購入履歴にはプライベートな情報も含まれており、個人情報を見せたくないと感じる方もいらっしゃるでしょう。 - 他の領収書と合わせて管理できないECサイトの領収書と他の領収書を別々に管理すると、後から書類を探す手間が増えてしまいます。経費の管理はまとめて一箇所で行う方が効率的です。
これらの理由から、サイト上での保管は避け、ご自身で管理できる方法で保存することをお勧めします。
いつまでにダウンロードするのがベスト?
では、Amazonや楽天などの領収書はいつまでに、どのように保存するのが良いのでしょうか。
結論として、月に一度など、ご自身でタイミングを決めてまとめてダウンロードし、クラウドストレージなどで一括管理する方法がお勧めです。
- 保存するタイミングは?「いつまでに」という明確な決まりはありませんが、月に一度など定期的に処理する習慣をつけるのが良いでしょう。
まとめて処理することで、事務作業の時間を短縮できます。 - 保存する方法は?ダウンロードした領収書データは、ご自身で決めたルールに従ってファイル名を統一し、フォルダに整理して保存しましょう。
例えば、「202508_amazon_領収書」のようなファイル名にすることで、後から見返した時に分かりやすくなります。
「ダウンロードが面倒…」と感じる方は、会計ソフトとECサイトを連携させる方法もあります。
購入履歴が自動で会計ソフトに取り込まれるため、ダウンロードの手間が省け、経費の管理も効率化されます。
電子帳簿保存法の対応方針を決めよう
この記事では、電子帳簿保存法におけるAmazonや楽天の領収書の取り扱いについて解説しました。
- Amazonや楽天の領収書は電子取引データに該当する
- 売上5,000万円以下の個人事業主は、検索要件が不要
- 検索要件が不要でも、サイト上での保管はリスクがある
- 定期的にダウンロードして一括管理するのがお勧め
電子帳簿保存法への対応は、個人事業主の方にとって煩わしい作業に感じるかもしれません。
しかし、早めに対応方針を決めておくことで、将来的な不安をなくし、日々の業務に集中できるようになります。
お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。