基礎控除の引き上げで手取り増?2025年12月より影響

給料から引かれる税金について、関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特に、「基礎控除の引き上げが発表されたが、具体的な手取りへの影響はどうなるのか?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。

令和7年度の税制改正では、個人の所得税に関わる基礎控除給与所得控除が見直され、その金額が引き上げられるなど、重要な変更が盛り込まれています。これにより、手取り収入に影響が出る可能性があります。

この記事では、今回の税制改正、特に基礎控除や給与所得控除の金額の変更が個人の手取りにどのような影響を与えるのかを、専門的な知識がない方にもわかりやすく丁寧にご説明します。

目次

1. 基礎控除引き上げ手取りに影響?今回の改正の主要控除

税金の話は複雑に感じられるかもしれませんが、まずは今回の税制改正の主要なポイントとなる2つの「控除」について理解を深めましょう。

今回指す控除とは、税金を計算する際に、課税対象となる金額(所得)を減らす仕組みのことです。

この控除額が大きければ大きいほど、最終的に支払う税金が少なくなり、結果として手取り収入の増加につながります。

「基礎控除」とは何か

基礎控除は、ほとんどの納税者に適用される基本的な控除です。

所得税や住民税を計算する上で、所得から一定額を差し引くことで、税金がかかる対象となる所得額を減らす効果があります。

しかし、合計所得金額が2,400万円を超える場合は控除額が段階的に減少し、2,500万円を超えると控除が適用されません。

給与所得者向けの「給与所得控除」

一方、給与所得控除は、会社から給料を受け取っている給与所得者のみが適用される控除です。給与所得者が仕事をする上で発生する経費を、あらかじめ見込んで給料から差し引いてくれる仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

この控除があることで、給料の全額に税金がかかるわけではありません。

2. 令和7年税制改正!基礎控除・給与所得控除の引き上げ

今回の税制改正では、前述した基礎控除給与所得控除の金額が見直されました。

特に、これらの引き上げは、多くの人の手取りに直接的な影響を与える可能性があります。

基礎控除引き上げ:所得が少ない層に有利

令和7年度から、基礎控除の金額は、個人の年間のお給料やその他の収入を合わせた金額(「合計所得金額」といいます)によって変動するようになります。

これまでは一律の金額でしたが、改正後は合計所得金額が少ない人ほど、より多くの基礎控除を適用できるようになります。

これは、所得が少ない層の税負担をさらに軽減しようという目的があります。

例えば、合計所得金額が少ない方の場合、以前よりも控除額が増えることで、課税所得額が減少し、結果として納める所得税や住民税に影響があることが期待されます。

給与所得控除:最低額が上がる

給与所得控除についても、最低額が引き上げられることになりました。

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、これは給与収入162万5,000円以下の人に適用されます。これにより、給与収入が比較的少ない会社員にとって税負担が軽くなり、手取り収入に影響がある可能性があります。

3. 基礎控除引き上げと新控除「特定親族特別控除」

今回の税制改正では、これまでの控除の見直しに加え、新たに「特定親族特別控除」が創設されました。

この控除も、手取りに影響を与える可能性のあるポイントです。

新設された特定親族特別控除の概要

特定親族特別控除は、納税者が扶養している19歳から23歳までの親族がいて、従来の扶養控除の適用対象外となった場合でも、税負担の急増を緩和するために新たに設けられる所得控除です。

これは、扶養親族の収入が一定額を超え、従来の特定扶養控除を受けられなくなった場合に、段階的に所得控除を受けられるようにするもので、納税者の手取りの急激な減少を緩和する目的があります。

控除を受けるための手続き

この控除を受けるためには、年末調整などで手続きが必要になります。

4. 個人の税金や手取りは、どう変わる可能性があるのか?

今回の改正によって、税金負担に変化があり、結果的に手取りが増加する可能性がある人は以下の通りです。

  • 合計所得金額が比較的少ない方: 基礎控除の引き上げにより、課税所得が減少し、手取りに影響がある可能性があります。
  • 給与収入が比較的少ない方: 給与所得控除の最低額の引き上げにより、同様に手取りに影響があることが期待されます。
  • 19歳から23歳までの扶養親族がいる方で、その親族の収入が一定額を超える場合: 新設された「特定親族特別控除」により、税負担が緩和され、手取りに影響がある可能性があります。

ただし、最終的な税額や手取り収入の金額は、これらの控除だけでなく、生命保険料控除や医療費控除など、他のさまざまな控除や家族構成によっても変動します。

そのため、必ずしもすべての方に大きな手取りの増加があるわけではない点に留意が必要です。

個々の状況を正確に把握することが重要です。

5. 知っておきたい!これからの手続きと影響

今回の税制改正は、原則として令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。

年末調整の準備

令和7年分の給与の源泉徴収事務においては、令和7年12月に行う年末調整の際に、改正後の基礎控除額や給与所得控除後の給与等の金額などに基づいて税額を計算し、これまでの源泉徴収税額との精算が行われます。

扶養親族等の所得要件の改正も令和7年12月1日以後に支払う給与から適用され、年末調整で適用を受けるためには申告書の提出が必要です。

特定親族特別控除も令和7年分の年末調整で適用されます。

年末調整の時期には、会社から提出を求められる書類の記載方法が変更されたり、新しい書類が増えたりする可能性があります。

特に、新たに創設される「給与所得者の特定親族特別控除申告書」は、「給与所得者の基礎控除申告書」、「給与所得者の配偶者控除等申告書」及び「所得金額調整控除申告書」との兼用様式が予定されています。

会社からの年末調整に関する案内をよく確認し、必要な書類は忘れずに、そして正確に提出することが大切です。

令和8年分以降の源泉徴収事務

令和8年1月1日以後に支払う給与については、改正後の「源泉徴収税額表」を使用して源泉徴収税額が求められます。

また、令和8年分以後の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式が変更され、「源泉控除対象親族」を記載することとなります。

公的年金等についても、令和8年分以後で源泉徴収税額の計算における控除額や申告書の記載事項が変更されます。

困ったら情報収集を

もし、年末調整の書類の記載方法や、どの控除が適用されるのかなど、不明な点があれば、会社の経理担当者や税務署に相談することをお勧めします。

税金の知識は複雑であり、ご自身の状況に合った情報を得ることで、適切な手続きを進められます。

結論:令和7年と令和8年以降の手取りへの影響

今回の税制改正による所得税の変更は、以下のように手取りに影響を与えます。

  • 令和7年は、主に12月に行われる年末調整で、改正後の基礎控除や給与所得控除、新たに設けられる特定親族特別控除などが適用され、税額が精算されます。 1月から11月までの毎月の給与や公的年金等からの源泉徴収額には変更がないため、年末調整で過不足が調整されることで、手取りに変化が生じることになります。
  • 令和8年以降は、1月1日以降に支払われる給与や公的年金等から、改正後のルールが反映された新しい源泉徴収税額表が適用されます。 これにより、毎月の給与や年金から引かれる税額が変わり、それに伴って手取り額も変動することになります。

まとめ:基礎控除の引き上げを理解し、備える

今回の令和7年度税制改正は、基礎控除の引き上げや給与所得控除の見直し、そして特定親族特別控除の創設によって、特定の納税者の税負担に影響を与え、結果的に手取りに変化をもたらす可能性があります。

税金に関する知識は複雑に感じられるかもしれませんが、手取りを把握し、家計管理を行う上では、正しい情報を持つことが非常に重要です。

令和7年の年末調整では、必要な手続きが変わることが予想されるため、会社の指示に従って正しく申告することが大切です。

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